鼓動 Seria〜セリア小説サイト〜
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Part5  ージェラシーー <9>
 パーティから数日が経った。
 浅子は気にしないでおこうと思いながらも北浜諒子の顔がちらついて仕方なかった。
 こんな時は仕事に打ち込もう!そう思いパソコンに向かった。
 メールのチェックをしていると、高麗橋ジュエリーの淡路からの仕事の依頼が社長と浅子宛に入っていた。

『新作指輪のカタログ』制作依頼

 いつもは社長だけに依頼が来るのに珍しいことだった。
 パソコンから顔を上げると社長と目が合い、
「浅ちゃん、これやらへんか?」社長も同じメールを見ていた。
「わ、わたしがですか?」浅子は少し戸惑った。
「浅ちゃんも江坂の見て触発されたんちゃうかと思ってな、この前淡路さんに会うた時に話とったんや」
 浅子は自分にこなせるか自信が無かったが、任せてもらえるということが嬉しかった。
「がんばってみます」元気良く浅子は返事をした。

その時電話が鳴った。

「はい、アドユー中之島です。」
「もしもし、浅ちゃん?江坂です」
電話の主は江坂である。浅子は少し高鳴る鼓動を沈めて
「こんにちは。いつもお世話になってます」と冗談ぽい声で浅子は返事をした。
「今日の夜空いてる?」
「えっと、7時以降なら」
「二人で食事に行かないかな、と思って」江坂っから久しぶりに食事の誘いだ。
「本当ですか。行きます。」
「じゃあ、8時にいつもの場所で」
いつもの場所とは江坂の会社の近くの公園である。江坂が浅子を連れて行くのは会社近くの行きつけの店が多いからである。

 江坂は浅子を小料理屋に連れてきた。
「ここね、中津さんの友達がやっている店なんだよ」
「いらっしゃいませ」カウンターの中から温和な感じの板前が挨拶をした。
「こんばんは」江坂が軽く会釈をした。
「久しぶりだね。中津は最近来ないんだけど元気にしてますか?」その板前が中津の友人である。
「ええ、忙しくしているみたいですけど」江坂は当たり障り無く答えた。
 店は思いのほか混んでいた。
「今日は混んでいてカウンターしか空いてないけどいいですか?」
「ええ」そう言って浅子のためにカウンターの椅子を引いた。
 浅子は板前に軽く会釈して椅子に座った。
 板前は江坂に向かって
「江坂さんの?」と彼女かという風に聞いた。
「ええ、まあ」江坂は少々テレ気味に答えた。
 その江坂の言葉に浅子も少し反応した。
「ここの料理は何でも美味しいから好きなもの言ってね」そう言ってお品書きを浅子の前に広げた。
「はい」浅子は江坂が知り合いのお店に連れてきてくれたこと、彼女だと認めてくれたことがなんとも言えず嬉しかった。

 板前は忙しくしていて浅子たちの会話に耳を傾ける暇も無いほどであった。
 江坂も浅子もネタを選ばずに会話することが出来た。
 お互い生ビールを一杯ずつ空けて箸を進めた。
 沈黙を破ったのは江坂の方だった。
「浅ちゃん・・暫くぶりだけどどうしてた?」
「実は高麗橋ジュエリーの新作のパンフレットのデザインを社長が私に任せてくれるって言ってくれてるんです」
「へー凄いじゃない」
「私に出来るかどうか不安なんですけど社長もサポートしてくれるって言ってくれてて・・」
「浅ちゃんもいい仕事を任されるようになってきたんだね」江坂は少し嬉しそうだった。

「そうだ、もし良かったら僕が参考資料にしている本を貸そうか?何にも無いところから考えるのは難しいから色々見るといいよ」
「有難う御座います。是非。」
「実は最近会社の近くにマンションを借りたんだ。仕事が立て込んでるときはそこに寝泊まりしてるんだ。仕事に使う本や資料を移したから見に来るといいよ」
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